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「義務教育の教員人事に関する大阪府教委の権限を市町に移譲することで、橋下徹知事と府北部5市町長との間で大筋合意した」というニュースを皆さんもご存知だと思いますが、このニュースで最初に思ったことは、「これって法的に可能なんだろうか?」ということでした。
教員の人事と給与については国法で都道府県の権限下にあるものと定められています。構造改革特別区域法により平成15年4月から、構造改革特区(市からの申出に基づき政令で指定された人口20万以上の都市。指定に当たっては都道府県の同意、関係議会の議決が必要)において、教育上特に配慮が必要な事情がある場合には、地域における特色ある教育を推進するため市町村が給与を負担することにより市町村教育委員会による市町村立小中学校等の教職員の任用を可能とするという「市町村費負担教職員任用事業」制度が確立されていますが、今回権限が委譲される5市町はいずれも人口5万人以下のところであり、特区申請はできません。特区でもないのに都道府県の判断で市町村に人事権等を委譲するということは可能なのだろうかと疑問に思ったのです。 そこで調べてみると、どうやらこの法的根拠は「地方分権改革推進法」にあるようです。今回は、これについてまとめてみることにします。 都道府県から市町村への教職員人事の権限移譲については、平成20年6月20日に政府の地方分権改革推進本部により決定した「地方分権改革推進要綱(第1次)」の中で、「県費負担教職員の人事権の移譲と給与負担については、広域での人事調整の仕組みにも留意した上で、都道府県から中核市に人事権を移譲するとともに、既に人事権が移譲されている政令指定都市と中核市において人事権者と給与負担者が一致する方向で検討し、小規模市町村を含めた関係者の理解を得て、計画の策定までに結論を得る。 あわせて、現在都道府県の協議・同意が必要とされている学級編制や都道府県が定めている教職員定数についても決定方法を見直す方向で検討し、関係者の理解を得て、計画の策定までに結論を得る。」と示されています。 ここで言う計画とは、平成19年4月1日に施行された「地方分権改革推進法」第8条第1項において政府が作成することとされた「地方分権改革の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、地方分権改革の推進に関する基本方針に即し、講ずべき必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を定めた地方分権改革推進計画」のことであり、この計画は地方分権改革推進要綱を基礎として平成21年12月15日に閣議決定されました。 ただし、この計画においては教職員の人事権の委譲については言及されておらず、国の体制としてはまだまだ検討段階のものであると言えます。 地方分権改革推進法では、第3条第2項において「地方公共団体は、国の地方分権改革の推進に関する施策の推進に呼応し、及び並行して、その行政運営の改善及び充実に係る施策を推進する責務を有する。」、第3項において「国及び地方公共団体は、地方分権改革の推進に伴い、国及び地方公共団体を通じた行政の簡素化及び効率化を推進する責務を有する。」と示されています。 また、第7条第1項においては「地方公共団体は、行政及び財政の改革を推進するとともに、行政の公正の確保及び透明性の向上並びに住民参加の充実のための措置その他の必要な措置を講ずることにより、地方分権改革の推進に応じた地方公共団体の行政体制の整備及び確立を図るものとする。」、第2項においては「国は、前項の地方公共団体の行政体制の整備及び確立に資するため、地方公共団体に対し必要な支援を行うものとする。」と示されています。 大阪府の場合はこれらの規定に基づき人事権の委譲を行うこととなるのだろうと考えられますが、都道府県から市町村への人事権と財政面の権限委譲については小さな市町村等ではいまだに反対も根強くあります。地方自治体の財政力によって教員給与が異なったり、都市部や地方部など地域事情の違いで教員志願者に偏りが出ると、地域間の教育格差が拡大し、また一つの学校に定年までずっと同じ先生が勤めることになることも考えられ、ひいては義務教育の公平性、平等性が崩壊する可能性があるからです。 このため、文科省では、市町村教委への教員人事権移譲に先立って、市町村の財政力の違いなどで教員の質に偏りができないようにするため、複数の市町村間で教員の人事異動を行う「広域調整」の仕組みや、学級編制権の在り方、教員給与の財源の在り方などを検討することとなっています。今後、中核市への教員人事権の移譲は間違いなく進んでいくと思われますが、小規模の市町村にまで適用されることとなるのか、また委譲されるとなるとどのようにして行われることになるのか、採用試験の形態等は現在と変わるのかなど、現在教員である方は勿論、これから採用試験を受ける方々にとっても他人事ではない流れになりつつあると思います。 このような背景の中にあって大阪府の今回の試みは、今後全国で行われる方向となる教職員人事の権限委譲のモデルケースとなるものとして、非常に注視すべきものであると言えるでしょう。(Pain)
by kyoueigakuin
| 2010-04-08 15:16
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